証券会社やIT企業の人事を経て、念願だった高校教師の道へ。社会科の授業で大切にしているのは、教科書の知識と自身の体験をつなぐこと。「いい先生になるには、いろんな経験が必要」と語る5年目の今も、学び続ける姿勢を手放さない。
Q&A インタビュー
現在のお仕事について教えてください
私立の高校の非常勤講師という位置づけで、決められたコマ数の授業を担当するという立ち位置です。自分の専門科目だけを教えるという立場の先生をしています。非常勤講師は担任は持たないけれども、教科の授業を持つという立ち位置になります。
教師を目指したきっかけはなんですか
私の父が銀行員をやっていた後に独立して学習塾を開いていたという経歴で、それを見ていたので、自分自身もなんか似たような感じで、一度社会に出た上で先生みたいな立場で仕事がしたいなっていうのが小さい頃からの夢でした。民間企業は実際10年ぐらいですかね。
影響を受けた恩師について
今、社会科で政治経済とか教えているんですけれども、私が高校時代に政治経済を教えてくれた先生の影響はすごく大きかったです。政治経済を教えてくれた先生も民間企業で働いた上で先生になっている人で、ものすごく民間時代の話をいっぱいたっぷりしてくれて、その上で教科書に沿った内容をやってくれていたので、すごく色んな知識が得られたので、そういうことを私もやりたいなって思いました。
お仕事の流れを教えてください
9時半始まりとか9時45分始まりぐらいの授業をだいたい担当しているので、それまでに学校内のタイムカードを打つとか、あとはプリント印刷するとか、そういった事務的な作業をする感じですね。その後、大体2コマもしくは3コマ授業をして退勤するっていう流れですね。その後は次の授業の準備ということで、授業で使うパワーポイントを作ったりという作業をして、ということの繰り返しです。
授業準備で大変なことはありますか
社会科で政治経済とか教えるとなると、教科書の内容に沿ったものをいかに教えるかっていうものもあれば、逆に今現在の政治とか経済とか、そういう流れのレクチャーをするっていうような授業も必要になるので、どちらかというと今のリアルタイムのニュースとかを追っかけて、それをどう生徒に伝えるかっていう準備をするのが一番大変ですね。
授業で大変な事はなんですか
二つあって、一つは自分のレベルと教えている高校生のレベルの差をしっかり感じ取れるかどうかというところだと思うんですけど、高校生でも分かるレベルで話すっていうことがすごく最初は難しくって、自分の頭の中では理解できてるけど、それを言葉に表して、かつ高校生も分かるレベルっていうのが最初は難しかったですね。あと二つ目は、日々のニュースを追っていかないといけないので、基本的に家に帰ったらずっとテレビをつける感じで、暇があればネットでニュースを見るみたいなことをしているので、なんかもう一日中仕事してるなっていうのが正直あるんですけど、証券会社で働いてた時期があったので、それが普通にはなっているので、私の場合はそこまで苦にはなっていないかなっていう感じですね。
生徒を寝させない工夫はありますか
興味を持つネタをいかに出すか、高校生が好きそうな漫画の話題をあえて盛り込むとか、高校生が好きそうなドラマのネタを使うとか、いかに寝させない授業をするかですね。寝てる生徒でもいろんなパターンがあると思うんですけど、授業が物足りなさすぎて寝ちゃうっていうケースの方だと、申し訳ないなっていう風には感じます。
なってよかったと感じる瞬間は
本当に小さい頃からの夢だったので、本当になれて良かったなって思います。最初の時には自分に合ってるかどうかっていうのは自信がなかったので、ひとまず1年やってみようって思って、1年やってみて、自分でもやりがいあるなっていうのを思えたし、もうちょっとこのスキルを磨いて良い先生になりたいなっていう気持ちが生まれたので、今まだ続けている5年目ですけど、やっぱり時間をかけて授業準備をして、ここは受けて欲しいなって思うようなところでわーっと生徒の反応があった時、それが一番嬉しいですね。
この仕事に向いている人は
やっぱり人前で話すのが苦手とか好きではないっていうタイプだと、なかなか続かない仕事だろうなっていうのは感じます。話すことっていうよりかは、自分で勉強したこととか自分でまとめたものを人にアウトプットするっていうことが好き、言葉を使って話してアウトプットすることが好きだから、この仕事を続けられてるかなっていうのもあります。
印象に残るエピソードはありますか
政治の授業をした時に、いろいろな話をした結果、生徒が興味を持ってくれて、「将来議員になることに決めました」って言ってきた生徒がいた時はびっくりしました。裁判系の授業をやっていた時に、私もちょこちょこと裁判所に行って、傍聴に行ったりもしているので、その時の例とかを話していたら、実際行って聞いてみたいって話になったらしくて、四人組の女の子が実際に行ってきたそうなんですね。なかなかそういうケースも珍しいので、実際私の話を聞いて興味を持って、実際に足を運んでくれたっていうのがすごく嬉しかったです。
職員室の雰囲気はどうですか
先生が集まっているわけなので、話し好きな人が多いんですよね。なので結構賑やかだったなっていう印象はあります。
給料と勤務日数の実情
私立高校の非常勤講師であれば、一コマはいくらで働いた時間数っていう計算になります。非常勤講師は基本的に授業だけをするっていう立場なので、行事に参加するっていうのは基本的にはないんですね。なので、授業があるタイミングだけ出勤すればOKなので、夏休みとか冬休みは授業がないし、学校の行事が1日あるような時だと授業はカットされてしまうので、そういうタイミングはないです。なので、私自身3つの高校を少しずつ掛け持ちしていますけど、全部合わせても年間で100日も授業がない状態です。
今後のキャリアプランは
今、私の場合は小学生の子どもたちがいて、その子どもたちが高校生くらいになったタイミングでどうするかっていうのは考えないといけないかなって思ってますね。場合によっては非常勤ではなくて、常勤っていう立場に切り替えてフルタイムっていう働き方もできるし、あえて非常勤っていう立場で他の高校でチャレンジしてみるっていう選択肢もなくはないかなっていうのは考えてます。
仕事で気をつけていることはありますか
一番気にしているのは、学校内のトラブルを起こさないことですかね。幸いこの5年間、何かすごい指摘をされるようなこともなく過ごせてきているので、来年も大丈夫かなっていう気持ちもあって、更新でいってもらっている感じなんですけど、場合によっては生徒とトラブルになってしまって更新ができないなんていうケースもゼロではないみたいなので、そこはちょっと恐れている部分です。
なぜ高校を選びましたか
やっぱり教えたい内容がそれなりのレベルのものを教えたいなっていうのがあったので、そうなると高校生が一番いいかなっていうのがありました。全教科教えるくらいのスキルがないっていうのもあるので、そういう意味では小学校は私の場合ちょっと、向いているとは言いきれないなっていうのが正直あったので。
自分の強みはなんですか
自分の体験談をかなり盛り込むっていうところは力を入れてやっていますね。私の場合、民間企業でも証券会社で働いた経験と、あとIT系の企業の人事部で採用担当とか研修担当をしていたもので、ある意味、金融教育的な側面もできるし、キャリア教育的な側面も授業の中で盛り込めるので、そこを強みとしてやっています。
これからの理想の働き方
私の場合、民間企業で働いた経験をある意味売りにはしているので、ちょっと民間企業の方に片足突っ込んだ状態を作っておきたいなっていうのがあって、今でも昔の同僚とかから仕事の依頼があれば業務委託で引き受けて、夏休みとか冬休みとかにそういう仕事をしたりはしているんですけど、何かどっかのタイミングで、1年ぐらいどっぷり民間企業に戻って仕事をして、また新たにインプットして戻ってくるみたいなことができたら最高だなと思ってますね。
教師を目指す人へメッセージを
先生って言うと、授業を上手に教えたいとか、生徒とうまく接するっていうことをどうしても考えがちだとは思うんですけど、やっぱりそれをうまくやるには、自分自身がいろんな経験をしてないとできないんだろうなっていうのは私は感じているので、本当にいろんな分野でいろんな経験をしておく必要があると思います。