教育・学習
03月06日
人には必ず、周りを幸せにできるツールがある——その一つが、自分にとっての花だと語る。育てる講師たちにまず伝えるのは「ベクトルを自分に向けない、主役は生徒さん」という姿勢。技術以上に人を立てることを大切に、喜ぶ笑顔をやりがいに歩んできた。
Q&A
インタビュー
お仕事の内容を教えてください
フラワーデザイナーです。フラワーアレンジメント教室を30年しています。教室では生徒さんに教えたり、あとはうちの認定講師の先生が何人かいるので、認定講師さんを育てたり。あとは専門学校さんで教えたり、国家資格の指導とか、フラワーデザイナー試験の審査員、それから公的な機関や企業のVIPのお客様の講座を担当したりしています。
国家資格があるんですね
はい、国家資格は、花屋歴が10年以上の方が受験できるという試験で、各都道府県で年に1回あるんですけれども、実技の方は、100本くらいを30分とかで仕上げていくんですけど、出来上がったものをこの枠に入っているかピッとまずあてて、ちょっとでも出たらもう失格です。なので、あまり合格する方が少なかったりします。実技と、あとは学科があります。
このお仕事を始めたきっかけは
学生が終わって就職した時は、ちょっと大手の企業で秘書をしていたんですけれども、秘書をしながら習い事でお花に通っていました。そちらの先生が「私の後を継がない?」というふうにお声がけいただいて。ただ、ちょっと私には荷が重かったので、それはお断りさせていただいたんですけど、そこから自分の中に「教室をしてみる」っていうのが入って、数年後に自分でお教室を立ち上げました。その言葉をいただいたのがきっかけになっていると思います。
お花との出会いは
OLをしながら、ちょうどバブルのすぐ後ぐらいだったので、スポーツクラブのチケットを100万円単位で買う時期で、お友達と買ったりしたんですけど、買ってから、私はスポーツが好きじゃなかったということに気がついて。そのチケットで使えるもので何かって探した時に、その中で一番好きだったのがお花だったので、お花の教室に通い始めました。
教室の立ち上げはどう進めましたか
もう本当に、「後を継ぎなさい」って言っていただいて、ですが、それをお断りして始めたので、立ち上げた時に先生に「どのようにして回したら」っていう質問をしたんですけれども、明確な答えを返していただけなくて、「自分でやるように」っていうことだったので、自分で色々調べてやりました。最初、声をかけたら100名集まってくださったので、まず仕入れのところから、100名分っていうのが困ったので、品川で最初やってたんですけれども、その近くでお教室をされている方に、仕入れ方とかを初めましてで教えていただいて、すごく良い方に出会ったなと思うんですけれども、お花屋さんに最初は入れていただいたりしていました。
レッスンの形態について教えてください
対面もあるんですけれども、コロナ禍もあったので、オンラインと通信講座も始めました。オンラインの方は時間がオンタイムでするんですけれども、リアルに来る距離が難しい方もできるので。オンラインと、あとはお子さんとか介護の方とか、海外の方なんかは動画で見ていただいて。ただ、でもやりっぱなしになってしまうと、ただ動画を見て終わりになってしまうので、動画を見て作っていただいたものをSNSで連絡していただいて、全部チェックするっていうような、3つのスタイルでレッスンをしています。
これまで大変だったことは
外の会場に伺ったときなんかは、お花の手配は先方のスタッフさんがされるので、いざ会場についたら、お花が手配されていなかった、ということなんかもありました。3時間のセミナーで、みなさん50人100人くらい集まってくださっていて、「お花がありません」とは言えないので、「先生つないでください」ということで、何の準備もなく2時間、3時間つないでしゃべる、っていうこともありました。あとはそうですね、講師さんもそれぞれレベルアップできるように、毎月講師会っていうのをやってるんですけども、テクニックと教室運営と、両方レベルアップをしていくんですけども、やっぱり人によって引っかかっているところが違うので、1人ずつを同じペースでレベルアップしていく、声かけとか、1人ずつの考え方の違いに合わせて声をかけたり、カリキュラムも組んでいくっていうところが、なかなか大変かなと思います。
講師育成で最初に伝えることは
まず講師になった方に言うのは、「ベクトルを自分に向けない」っていうことは言っています。来てくださってる生徒さんが主役、生徒さんが楽しいっていうところを補助するのが講師だと思うので。もちろん、花としてのテクニックとかは、キャリアが長いのでお伝えして。ですけど、主役になるのは生徒さんなので、自分ではなく生徒さんに、まずベクトルを向けるっていうことが大事だよ、って言っています。
やっていてよかったなと思う瞬間は
皆さんに喜んでいただけるっていうのが仕事をする喜びでもあり、喜んでいただけた笑顔がお金になって返ってくると思うので、喜んでいただけたときが一番嬉しいです。企業さんのお客様のVIPさんの講座をさせていただいて、奥様に連れて来られて、「僕は来たくなかったんだよ」って言いながら旦那様がいらっしゃって、「こんなのやりたくないよ」って言いながら、一番最後に「めちゃめちゃ楽しかったからまた来るよ」って言って帰られたりとか。あとは、ウェディングの会場装飾なんかもするんですけれども、ブーケから全部やったときに、デザイン画を描いて、稚拙なデザイン画なんですけど、デザイン画で打ち合わせをして、そのデザイン画も気に入ったって言って、披露宴でお二人の生い立ちをするところと、私のデザイン画も会場に流してくださったっていうときもあって、それもとっても嬉しかったです。
教室の自慢を教えてください
素敵な生徒さんがいて、「先生に会いたいです」って言って皆さんいらしてくださって、「ここに来るのが楽しみです」っていう、皆さんの楽しみのコミュニティーになってたり、っていうところも誇り、自慢です。
花素材を扱う面白さとは
私は生花もアーティフィシャルもプリザーブドも押し花もやるんですけども、花素材自体が、花って、百合の花とかバラの花とか、かすみ草とか、それぞれ個性があるものを束ねて、全体に調和させて美しくしていくもので、調和させるときに、かすみ草だけで主役っていうことはあると思うんですけど、百合とかすみ草がいたら、どうしても百合が主役で、かすみ草はつなぎっていう、それはその花に与えられたものだと思うんですけど、人もそれと同じだと思っていて、人の場合には、そのシーンシーンで立場が入れかわることもあるとは思うんですけど、その花をやっていくことによって、人との付き合い方も、相手も立て自分も立て、全体がより調和していくっていうところを、お花教室でも皆さんにお伝えしているんですけど、「ここに通ってから人との付き合いがスムーズになってきたわ」なんていう声もいただいたりするので、それが面白さかなと思います。
講師育成の難しさはどこにありますか
やっぱりそれぞれ人の成長の段階が見えるというとあれなんですけど、お花のテクニックとしても、まず理論が分かって、やってみてできるようになって、できるようになったことが腑に落ちて、使えるようになって使いこなすっていうのが、お花だけじゃなくて全部そうだと思うんですけど、やっぱり講師さんでも、使いこなすまで行っていなくて、そこのベクトルがどうしても自分に向く方っていうのもいらっしゃるので、そこの声かけっていうのが難しいところだなと思います。
子育てとの両立はどうでしたか
20代からやっているので、20代の時は本当に仕事ばっかりしてました。仕事ばっかりして、夜中も毎日2、3時間しか寝ないっていう感じでしていて、それがまた楽しくもありました。でも、子供が生まれたところで、1回子供に重心を置いて。花仕事は私じゃなくてもできるけれども、子供の母親業は私以外はできないなと思ったので、いろんな出版社さんとかも待っていただいて、「小学校に入るまではちょっとこっちに重心を移します」みたいな話をして、やっていた時期もあり。ただ、と言いながら、もう子供を抱っこしながら打ち合わせをしたりもしてました。
これから花業界に必要なことは
やっぱり花業界っていう大きな括りで言えば、花を育てる方とかやっぱり高齢化していたりとか、花自身、花を消費する方の年齢層が高くなっていって、20代の方が少なくなっているということで、これから花の消費がどうなっていくのかっていうところを考えると、全体で考えて動いていかなければいけないこともあると思いますし。私が花を育てたりしているわけではないので、私が花業界の中でしている教室をするっていうところでは、そうですね、若い方に興味を持っていただけるような何かものをしていくっていうことも必要なのかなと思って、電子書籍なんかも、もう何冊か出しているんですけど、普通の本ではなくて電子書籍にすることによって、若い方にも少し入っていけたらいいかなーなんて思っております。
理想のワークバランスは
一時期は本当に、私が抜けて自動でも回るようにっていうのを考えたこともあったんですけど、やはり抜け切るということはできないと思うので。理想としては、プライベート7、仕事3くらい。多分私の言うプライベートっていうのは、本業の花仕事以外にも、旅に出てSNSでっていうところで、またそこを何か、キャッシュポイントを作るプライベートになっていくとは思うので、そう考えると、プライベート7の中に、もし仕事が入ってくるのではないかなと思います。
これからもこの仕事を続けたいですか
私は、人には必ず周りの人を幸せにするツールがある、何か一つは持ってると思っていて、やはり一番長く私がしていることは花なので、花が、私が皆さんに一番幸せをお伝えできるツールだと思うので、そこは持っていたいなと思います。
5年後はどうなっていたいですか
今、違う切り口のこともやりたいと思ってるので、違う切り口の方と、今ある花の軸とのバランスが5対5ぐらいになるといいなと思っています。5対5の仕事プラス、プライベートが5ぐらいで、めちゃめちゃ健康で、めちゃめちゃ楽しい毎日を送っていたいなと思います。喋る仕事をしたいなと思っていて、切り口が違うものが増えていくことによって、器がもう少し広がっていって、いろんな視点、いろんな人の理解の幅がもう少し広がっていって、よりもうちょっと大きな範囲に幸せを届けられるようになれたらいいなと思います。
花業界を志す人へ伝えたいことは
お花って一口に言っても、育てるとか販売する、販売するにしても、ギフトなのか、花を商材として売るのか、それを私のようにお教室としてするのか、いろんな方法があると思うので。晴れの花もあれば喪の花もあって、自分がどこが一番、自分がしたいものなのかを明確にしてから、勉強したり進んでいくっていうのが大事じゃないかなと思います。
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