子育てに疲れていた頃、キャンドルの火に救われた経験が原点。流行を追うのではなく、自分がいいと思うものを作り続けたいと語ります。火は怖いものじゃない、見ているだけで肩の力が抜ける——そんな時間を、志津の小さな店から手渡しています。
Q&A インタビュー
今のお仕事の内容を教えてください
今は志津でキャンドルショップをオープンしました。日々キャンドルの製作やワークショップなどを行っています。キャンドルの材料を仕入れて、それを自分で作って、まず作品をいっぱい作るのがお仕事と、あとはそれを販売して、この志津の方々に火の良さを知ってほしいという、火の良さを広めるようなお仕事をしています。
キャンドルの製作を始めた経緯を聞かせてください
子育てに疲れている時に火に癒され、その火の良さを周りの人に知ってほしいなと思って、まず周りのお友達に配ったのが活動のきっかけだったんですけど、ずっとマルシェとか自宅でワークショップをしていたんですけど、もっと間口を広く、どなたにでも火を見ていただきたいなと思って、お店を立ち上げることにしました。なんか私が……主人が、私はネット販売に向いていないから、店舗を持ってもっと人と話す方が向いていると思うから、店舗にした方がいいよって言ってくれて、それが店舗を始めるきっかけだったんですけど、全然自分自身は店舗を持つつもりは、すごく先の、いつかずっと先のことだと思っていて、たまたま近くにいい物件が空いたので、始めるに至りました。
マルシェ時代と今の違いはどこですか
マルシェは本当に小さな作品をいっぱい持って行って、テーブルを並べて販売するという感じだったんですけど、そこを身近な人のところから始めて、だんだん遠くまで行ったりして。でもやっぱりマルシェって固定のところでできないから、ずっと通ってくださるお客様があまりできないというか、その時々の勝負なので。その点、店舗を持ってからは、ここをめがけて来てくださる方がいるので、持ってよかったなというのは本当に思っています。
火の魅力はどこにあると感じますか
やっぱり日本人の方って火を見る文化がないから。でも火ってやっぱり身近に本当はあるものだし、毎日火を使って料理もしているし、怖いものじゃないんだよっていうことをまず伝えたいのと、あとはやっぱりその癒しの体験。火の揺らぎってF分の1の揺らぎって言って、お母さんのお腹の中にいるときの心臓の音とか、電車の揺れている心地いい音とか、それと同じリズムと言われていて、なので本当に見ているだけで癒されるんですけど、それをいろんな方に知ってほしいなと思ってます。あと木漏れ日の木々の揺らめきとか、スカートの裾がフワフワするのもF分の1の揺らぎなんですって。やっぱり現代の方々は忙しいから、なんかもっとみんな肩の力を抜いてゆっくりしてほしいなっていうのが、すごくこの活動を始めた時に、全人類幸せになれって思って始めたんですけど、キャンプに行ってみんな焚き火とか大好きで、焚き火動画とか4時間のものが流行っていたりするじゃないですか。でもやっぱりキャンドルってなるとちょっと怖いっていう思いがあったりとか。なので、そこのハードルをもっと下げていきたいなっていうのが願いです。
一番頭を使うのはどんな場面ですか
集客面かな。どうしたらお客様に喜んでもらえるかっていうのが……自分の好きを突き詰めるだけじゃダメで、それをお客様にどう見せるかっていう、同じ商品でも写真が違うだけでお客様の反応が違ったりとか、見せ方みたいなのを研究するのが一番頭を使っているかなと思います。
素材選びで難しいのはどんな点ですか
良い素材を使おうとすると、結構原価が高くなってしまうので。ロウソクってきっと溶かして固めるだけでしょって思っている方もいらっしゃると思うんですけど、やっぱりその中でより良い素材をって思うと、物価高騰の時代なので結構難しい部分もあって。そこをいかに質を良くして、かつお客様に喜んでいただけるように作るかっていうのは、なかなか大変なところで。意外と素材によっては、自然素材とか普通の石油素材とかいろいろ種類があって、それによって違うんだよっていうのは、なかなか知られていないことかもしれないです。
ワークショップではどんなことができますか
はい、ワークショップもしていて、好きな時に来ていただいて、ちょこっと作って帰るっていうこともできます。お花を詰めたキャンドルとか、あとサシェって言って、香りをつけてぶら下げられるようなものとか、あとは好きな香りと色を選んでオリジナルのキャンドルを作れたりとか、そんなことをしています。
ロウの面白さはどんなところにありますか
ロウソクが面白い溶け方をした時に、ワーって思います。例えばこの子とか。こうしたいんですよ、こう育てたくて。もりもりに、この周りに何十年もかけてロウソクを垂らしていきたくて。この子は上手くいったので、ワーって言いました。そうなんです。実際に見せられないのであれなんですけど、この子がシャンって溶けたんですよ。この筋が残って、裂けるチーズって感じになって。そんな溶け方も面白いのがロウです。もっとみんなに溶かしてほしい、ロウの面白さを知ってほしいなって思います。
思いが伝わったと感じる瞬間
やっぱり作り手として、作ったものを選んでいただく面白さ。いっぱいキャンドルって売ってると思うんですけども、それこそ100円ショップにも売っていますし、大手のメーカーさんでも売っていますし、そこをあえてここを選んで来てくださるっていうのは、やっぱり何か思いが伝わったからなんだろうなと思って。なので、やっぱりマルシェ時代は、ただ物販をしようと思って悩んでた時代もあったんですけど、そこに思いを乗せると、こんなにも人が来てくださるんだなっていうのが今面白いなと思っているところ。面白いなというか、もっと思いを言葉にして伝えていきたいなと思っているところです。
印象に残っているお客様はいますか
遠方から来てくださるお客様がいらっしゃいまして、茨城の方なんですけど、わざわざ見つけて、めがけて来てくださって、それがすごく感動しました。近くで、もともとキャンドルが好きで、キャンドルショップがないかなって探した時に見つけてくださって、ちょっと遠かったんですけど頑張ってきましたって言ってくださって。それはもうびっくりでした。嬉しかったです。
技術はどのように身につけましたか
基礎的なことは、火を扱う仕事なので、その基礎の部分はちゃんと習っておきたいなと思って習ったんですけど、あとはもう本当にトライ&エラーで、自分でいろいろ研究してレベルを上げていくっていうのが今の段階です。そういうのがある団体もあるんですけど、結構団体とかにとらわれるのが苦手なタイプで、なので、それよりは自分の納得するものを選んでいきたいなと思って、なので所属はせずに、好きなジャンルを学んで作っている感じです。
香りの探究もされるのですね
いろんな香りが渦巻いているので。香りは最初は精油にこだわっていて、アロマオイルと呼ばれるもので調合とかをして、そこは勉強したんですけど、でもキャンドル用の香料っていうのも別にあって、その蓋を開けたら、それが面白すぎてそっちもまたハマったみたいな感じで。いろいろ香りも種類があって、それを掛け合わせながら、この香りとこの香りを合わせたらこんな匂いになりそうみたいなのを日々、それも実験しながら学んでいます。
これからの展望を聞かせてください
一人でやっているものとしては、地域に根差した活動としては、このぐらいかなという納得感はあるんですけど、もうちょっとスキルアップして手広くしていきたいなというのが今後の展望ではあります。理想とするというか、目標としていた月の収入としてはクリアはしているんですけど、やっぱりそこをもう少し次のレベルに持っていきたいなというのは思っています。
資金についてどう考えていますか
ものづくりの世界って、資材にまずお金をかけないと何も生み出されないので、結局その分を捻出しないことには継続は難しいかなと思っていて、その資金は大事だと思います。始める時も、先が見えないのにそこにお金をかける苦しみがあったりして、こんなにワックスを買って大丈夫かなというのはありました。どのくらい人が来てくださるかもわからない中で、1回に20キロとか買って、作りながら不安みたいなのはすごくありました。
この場所をどんな存在にしたいですか
わりとここのコンセプトとして、その火を見てほしいという、ジャンジャン買ってほしいという感じでもないというか、交流の場というか、そういうものにもなっていけたらなと思っているので。多分資産があっても、この場というのは、ロウを売っているかわからないんですけど、こういうお店としては残していきたいというか、持っていたいなとは思っています。自身も子育てに疲れた時とか生活に疲れた時に、お客さんとお話しすることに本当に救われていて、なので、わりと今となってはなくてはならない場所になっています。
5年後はどんなお店に なっていたいですか
5年後は、今は通りすがりに来ましたという方がいらっしゃるんですけど、さっきの感動したような、遠くからでも見つけてもらえるようなお店になりたいなと思っていて、その先に来た時に、この子に会いたかったんだというキャンドルを置いておけるようなお店にしたいなと思っているので、そのために長く続く商品、いつまでも心に残る商品を作りたいなと思っています。
これから始める人へ伝えたいことは
やっぱり自分の好きを曲げない。やっぱり今流行っているものを作るとか、人の好きそうなものを作るっていうのはみんなできると思うんですけど、やっぱりその人だけの世界観とか、私はこれがいいと思っているっていうのを曲げずに続けていくと、そこに集まる素敵なお客様がいると思うので、そこを曲げずに続けていってほしいなと思っています。