高校時代、模型屋で見たワンボードマイコンに心を掴まれてこの道へ。本もネットもない時代、ドキュメントだけを頼りに独学で技術を身につけてきた。手探りで歩んだ歳月が、今のフリーランスSEとしての仕事観の土台になっている。
Q&A インタビュー
現在のお仕事を教えてください
はい、フリーランスをやっています。ITのSEですね。
ITのスキルはどうやって身につけたんですか
私が大体最初に始めたのが、1991年か92年くらいなんですよ。独学に近いですね。ただその頃、製品っていうか、もう既にあったものなので、それに対して、それこそネットとかも全然弱くて、本もないような時代なんですよね。だから、サーバーを買ってきて用意してもらって、その中にドキュメントっていうのがあるんですけど、ドキュメントのファイルを見て、どう動いているのかなとか、こういうふうに作れば、こういうふうに設定すれば動くんだろうな、という感じですね。独学に近い、手探りですね。
IT業界に入ったきっかけは模型屋さん
業界はパソコンができる前からいるので、ちょうど、なんていうか最初に見たのがね、模型屋さんでワンボードマイコンっていうのがあるんですよ。基板にいろんな部品が乗っかってて、その上にボタンがこういうやつあって、LEDっていうのがあってっていう感じで、まあそれを模型屋さんで見て、何だこれって思って、ちょっと触らせてもらったら面白そうだなって、そこから始まっていますね。そこから、そうこうしてるうちにすぐパソコンっていうのができてきたんですね。NECさんから出たりとか、アメリカの方もいろいろ出してきたりしていましたね。でその辺ちょっと触ったりして、こっちの道に行ってみようかな、っていう感じになりますね。ちなみに見たのが、TK-85と、それかL-Kit-16って基板、って頃になりますね。
いつ頃から興味があったのですか
アメリカでコモドールとか、タンディとかっていう会社があったんですけど、まあその辺が出したりとか、IBMが出したり、あとはアップルが出したりとか、いう感じで。まあその頃まだ高校行ってまして、工業高校だったんですよね。たまたま大きいミニコンみたいなやつがあったんですよ。そこでパンチカードとか紙テープとか、あの辺から触ってたりしてました。
最初の仕事は何でしたか
就いた頃はパソコンは使うんですけれども、その時は、基板を作ってもらって、その上にソフトウェアを乗せるっていう仕事をしてました。具体的には入退室管理っていう、セキュリティ関係のシステムなんですね。
フリーランスで大変なことは
まず仕事を取ってくるところから始めなきゃならないので、そこのやり方というか、結局人との付き合いもありますから、そういう人たちとどうやって付き合ったらいいのかっていうのと、それから、あとあれかな、危機回避ですかね。危なそうな人たち、危なそうな案件には近寄らないとか。そこはもしかしたら、要するに組織で守ってくれないですから、何でも全部自分でやらなきゃならないって。
支払い条件でも苦労があるそうですね
支払条件、場合によっては検収後3か月みたいなのがあったりするんですよ。じゃあ制作期間半年とかで、検収して3か月後というと、1年くらいは何も入ってこないんですよね。とかとか。
一番頭を使うことってなんですか
頭使うことですか。何もないところから考えなきゃならない場合ですかね。どう組み立てていこうかっていう、筋道を作ることかな、そうですね。台本ないようなものなので、台本ごとつくる。
やりがいを感じるのはどんなときですか
やっぱり、ありがとうを言われた時ですかね。役に立ったなとか。さすがに、これ俺が作ったんだぜというのは、有名なのはないんですけども。それはある製品で、コード3万行書いたとかありますけれども、具体的にじゃあ何サイトを作りましたとか、100以上作ってるでしょうし。
仕事量のばらつきはありますか
ありますね。自分がこう、営業とかでとっていく、まあなんていうのは、さじ加減っていうのもよりますけれども、ずっと日々抱えてますよね。ずっと自転車操業みたいな。慣れてはいますけど、嫌だなと思ってます。安定収入が欲しいなと思う。
紙テープも残してあるんですね
これがね、紙テープってやつですね。記憶装置になります。これをパンチで打って穴を開けて、これを読ませるんです。そうするとコンピューターがそれを受け取って動いてくれるという代物でございますね。これは80年代かな、70年代くらいに私は初めて触ったんですね。何の情報なんだ、なんだろうな、何かの情報だと思うんですけどね。
パンチカードも使っていたんですか
パンチカードって言うんですよ。穴開けて、穴開いてないんですけど、穴開いて、これが一行、一行分です。これを、さっきの紙テープもそうなんですけど、タイプライターみたいに刺して穴開けて、そこにかけて読み込ませて、カードリーダーって機械に読み込ませて。お札みたいなもんですね、お札の読み込みみたいで。間違えたら作り直す。
マークシートも捨てられない
これは懐かしい人がいるかもしれない、マークシート。共通一次だっけ、塗ってやるんですよ。なんとなく捨てるに捨てられないっていう感じ。特に博物館を作ろうとかないんですけどもね。
ITエンジニア技術の継承について思う事
お父さんがITのエンジニアでした、おじいちゃんもやっぱりエンジニアでした、僕もそうなりたいなと思うかもしれませんけども。ラーメン屋さんのスープを継ぐとかいうことはできても、お父さんの技術を継ぐのは、なかなか難しいと思うんですよね。なぜかって言うと、使わなくてもいいし、使ってないし、新しいものがどんどんできてるんですよ。なので、立場というか肩書きみたいのは継げるかもしれないですけども、技術の中身は継げないし、継いだところで使えないなと思うんですよね。なので、技術継承っていうのは、ちょっと難しいんじゃないかな、この業界は。危惧というか憂いというか、そんなのずっと思ってて、じゃあどうしたらいいんだろうな、我々は、我々上の世代の人たちはできることなんだろうな、っていうのはずっと思ってます。昔話はできますよね。昔こうだったとか、紙テープがありましたとか、我々はできますけども、それを聞いて多分、ふーんっていうのもと思うんですね。かたやラーメンスープとかだったら、ほほーって思うかもしれないですよね。そのふーんとほほーの違いかな。
仕事とお金について
幸か不幸か、お金で今生活が成り立っているんですよ。生活するためにはお金が必要だな、という認識でいます。報酬が今、お金じゃないですか。もちろんお金じゃない報酬の仕方もあると思うんですけど、基本お金が報酬ですので、お金欲しいな。
IT業界で働く人に伝えたいことは
ずっと自分で思っていることが一つありまして、技術の進歩、技術の発展は人を楽にする。なんだけども、幸せにしているのかどうかっていうことを、ずっと思ってますね。意識してほしいですね。その製品は、誰をどういうふうに幸せにしているのか。むしろ幸せにしていることを目指しているっていう、そこを常に考えて欲しいかな。