自分の中身を好きになれない時期があり、せめて外見から好きになろうと撮影を依頼したのが始まりだった。撮られる側から、撮る側、そして映像を仕上げる側へと役割を広げていく。中身への迷いを抱えながら、人と向き合う職業の中に居場所を見つけていった。
Q&A インタビュー
現在のご職業を教えてください
カメラマンであり、動画編集者であり、モデルであり、記者もやってます。
クリエーターになったきっかけは
やろうと思ったきっかけは、まず自分の中身が好きになれなかった時期があったので、まず外見から好きになろうという、何だか安直な考えからSNSでカメラマンさんを募集して、撮ってくださる方、いろんな方にアドバイスを受けながら、「こういう向きで撮影するといいんだよ」「こういうポーズをするときれいだよ」とか、いろいろ教わりながら、ちょっと写真を撮られるの楽しいかもと思い始めた。その次のステップで、ちょっとモデルの仕事にいろいろ応募して、ありがたいことにご依頼いただくことが多くなってきて、いろんなクライアントさまとお話ししている中で、多分、写真撮影とモデルと、その編集の全部ができる人が一番クライアントにとってはありがたいということが分かってきたので、じゃあそうなろうと思って、今クリエイターの仕事を中心にやってます。
初めてのモデルの仕事はどんな印象でしたか
お化粧品のプロモーションビデオの撮影だったんですけど、それまでモデルってすごく華やかな世界で、カメラマンさんがいて、ライトキラキラ、メイクキラキラみたいな感じだと思ってたら、すごく内容が地味で、蓋を開ける、戻す、ボトルを取る、はい終了っていう感じの、本当に無機質な仕事で、あ、こんなに、なんというか、派手派手さとは、言葉が悪いかもしれないですけど、派手さとは無縁の本当に事務的なところでお仕事させていただいたのが、いい意味でとても印象深くて、これなら何か地味な私でもいけるわって、なんか自信になったんですね。そこで一緒にお仕事させていただいたカメラマンさんとかクライアントの方も本当にいい方で、いろんな相談に乗ってくださりましたし、あれがスタートで本当に良かったなって思います。
1日の流れはどんな感じですか
一般的なもので言うと、朝8時くらいに起きて、支度をして、予約してあるスタジオに向かいます。準備します。カメラを2台持って、iPhoneを3台持って、充電器は4台持って、三脚は3台持って、LEDのライトと、LEDライト用の三脚を持って、すっごい荷物で、泣きそうになりながら、スタジオに孤独に一人で行って、スタジオに入って「今日よろしくお願いします、動画撮影で使わせていただきます、失礼します」と、また一人ぼっちになって、三脚を立てて、その三脚のカメラの前に自分で立って、商品を持ってきて、商品を使って、こういうPVが出来上がります。よし、素材が撮れた。これが大体5時間くらい。で、5時間くらいの撮影をして、出来上がるのが30秒から1分くらいの動画1本だけっていう世界なので、それを、やっぱり全然映像関係とは無縁の方たちに言うと、「5時間撮って30秒になっちゃうの」みたいに言われるんですけど、そういう世界なので。
一番頭を使う作業は何ですか
動画編集です。BGMの選定が一番、結構神経を使うかもしれないですね。結構私、音ハメが好きで、BGMで、チャーンのところで映像を切り替えるとか、ああいう作業が本当に好きなので、でも私としては、もうちょっとこのシーンを長く見せたいから、BGMのここで画面を切り替えちゃうと、ここのシーンが使えなくてもったいないけど、ここで画面を切り替えないとリズム的におかしいとか、考え始めると動画編集がいつまでたっても終わらないことが結構あって、だから楽しいんですけど、頭を使うのはやっぱりそういった点で、動画編集かなって思います。
撮影でこだわりはありますか
ピラティスジムのプロモーションビデオの作成のご依頼を頂いたときに、来店シーンを撮る、私がお客様役で、クライアント様が普通にジムのインストラクター様で、私がドアを開けて「こんにちはー、よろしくお願いします」を撮るのに30分ぐらいかけるみたいな。ただドアを開けて入るだけって言ってしまえば、もうそれだけなんですけれども、でも私としては、ドアを開けてここでこんにちはなのか、ドアを開けながらこんにちはなのか、それともドアを開けて、締めた後にこんにちはなのか、どれが一番美しく見えるかっていうのをすごく気にするタイプなので、だからドアを開けてこんにちはっていうシーンだけで30分かかるんだって言うと、結構びっくりされることがあります。私がこだわりすぎてしまう傾向があるからだとは思うんですけれど。あとは施術シーンとか、エステのご依頼をいただくことも結構多くて、お顔に施術しているシーン、私がモデルになるときは、こことこことここにカメラを置いて自分の顔をこう3方向から写すみたいなことはよくやるんですけれど、いや多分ここじゃなくて、ここからの方がいい画が撮れたなって思って、何回も取り直すとか、そういうことがあるので。動画を見るときなんて、縦にスワイプすれば、もしかしたら1秒ぐらいでスワイプされちゃうかもしれないけど、でも動画を作ってる身としては、この0.5秒のために私はカメラを3台セッティングして、で、何度も取り直してっていうのをやったんだよっていうのは、いろんな人に言いたいです。
写真や動画撮影の技術はどう磨きましたか
オート撮影をやってただけだったんですけど、どう考えても、多分もうちょっと写真の腕を磨いた方が、自信もつくし、お仕事もいただけるようになるし、何より絶対この仕事が良くなると思って、いろんな方の、カメラマンさんの例えばノートとか、今いろんなブログ記事がありますけど、そこで「このカメラレンズを使うときはこういうとき、こういうときはこのレンズを使った方がいい、背景との位置関係は」とかいろいろ読んで、写真撮影に関しては結構勉強したつもりではあります。あとは動画撮影とか動画編集とかも、やっぱりテレビCMとかを見ると、どれだけプロの方が悩んでるか、そしてそれがちゃんと出来上がってるかというのが分かるので、特定の方から師事を受けたということはないんですけど、ただ質が良いと呼ばれているコンテンツを見て、仕事の中で実践して、やっぱりなんかちょっとうまくいかなくて、原因は何だってまたいろいろ調べて、というのを仕事の中で積み重ねていけていることが、本当にありがたいなって思ってます。
現在のワークライフバランスは
ワークが4、ライフが6くらいで、本当にゆるーく仕事をやらせていただいて、本当にありがたくて。もう全然、駆け出しの頃はやっぱり仕事がなくて、自分から応募して「仕事をやらせてください」と言わないと仕事が貰えない時期が結構長かったですけど、今は本当に私のことをどこから知ったのかわからないですけど、ご依頼をくださる方に「ちょっとスケジュールが、この期間は案件が多くて、待ってください」と言えるくらいには、仕事をいただけているのが本当にありがたくて。でも、頑張りたい、実績を増やしたいと思ってる時は、1日に3件ぐらい仕事を入れて頑張っていた時期はあったんですけど、それがあるから今があると思うんですけど、さすがに体を壊しちゃいそうになって、あ、まずいと思って、今はもう撮影は1日に1件って決めて、なので、自分を甘やかしています、今は。
仕事とお金についての考え方
こうやって、服を着られて、ご飯を食べられて、家もあって、賃貸ですけど、ちゃんと暮らせる場所があって、っていうのは、そのお金っていうのは全部人からもらったお金なので、だから、私1人では絶対に生きていけないし、他人と関わらない限りお金を頂けないので、そういう点では、クライアント様には本当に感謝の言葉しかないし。説明するのが難しいですけど、結局自分が頑張った成果っていうのはお金に変わって私の元に入ってきますけど、でも絶対に私がもらってるのってお金だけじゃなくて、もっと何倍ものあったかい気持ちとか、嬉しい感謝の気持ちとかもお金と同時に頂いているから、きれいごとのように聞こえるかもしれないですけど、決して私はお金のためだけに働いているわけじゃないなと思って、クライアント様から「ありがとう、本当に」って言われた瞬間、私はお金のこと一切考えてなくて、この方に依頼もらえて良かったと思うし、この方と出会えて良かったって思うから、その瞬間に多分私にとってのお金って、おまけ程度のものだと思ってるんですけど、でも生活をする上ではお金って欠かせないものだから、仕事もしなくちゃいけないしって考えると、改めて「お金とは何ですか」って言われると、結構言葉に詰まっちゃいますね。何で答えればいいんだろうな。でもお金は好きですよ。
仕事は人生の中心ですか
仕事を中心にしたくなくてフリーランスになりました。会社員時代は、それが普通なんですけど、月曜日から金曜日まで、9時から5時、残業したら8時9時、それが当たり前だと私は思ってたんですけど、でもいざ会社をやめて、本当に今、自由な感じでやらせていただいて、それでもちゃんと生活できてる、それができるようになったから、本当に人生楽しいので、仕事っていうのは毎週同じ時間に同じことをやらなきゃいけないっていう概念から抜け出せたのは本当に嬉しいなと思っていて、でも仕事は好きなので、中心ではないけれど、人生の、人生を歩む上で絶対に仕事はしなきゃいけないから、そう考えると中心なのかもしれないんですけど、でも仕事のことだけ考えたくは絶対にないので、4:6ってお話をしましたけど、多分過半数はライフなので、中心にはいないと思います。
人生における仕事の意味
私がこの仕事をなんで始めたのかっていうのにちょっとつながってるかと思うんですけど、私は私のことがすごく嫌いだったので、そうすると人生を生きるのが本当に辛くて、そういう時期があったからこそ、この仕事ができてるので、だから、生きていく上でのお金を得るっていうためではなくて、生きるために、ちゃんと気持ちよく生きるために仕事をしてる気がします。
将来はどのようになっていくと思いますか
私、老いていくので、多分、今はギリギリ20代向けの商品、市場からしたら多分20代向けの商品がめちゃめちゃ多くて、ママさん向けもあって、だけど果たして40、50、60になった時に、果たして私に依頼を、モデル案件をくれる人がいるのかっていうのはちょっと不安に感じるんですけど、広告代理店さんの話を聞くと、モデルとして立候補するのは圧倒的に20代女子が多いけれど、それと同じくらいの人数がシニアにも必要だから、シニアのモデルが欲しいんだよねって広告代理店さんがおっしゃってるから、なんかいけるのかもしれないと思ってるし、あとAIで今いくらでも顔を変えられるので、なんかそういう点でも、逃げ道はあるのかも。
モデルを目指す人へ伝えたいこと
確かに、モデルになりたい女の子なんてたくさんいるし、私も別に、なりたいなりたくないで考えたら、幼い頃からなんとなく芸能人ってかっこいいなとか、あの子かわいいな、アイドルになりたいなとか思ってた時期もあって、今なぜかそういう仕事してますけど、決して華やかな世界ではなくて、本当に地味で、なんとも同じ動作を繰り返すとか、あの裏側を見ると、なんだろう、決してあのカメラの前に立ったり、何かを作る仕事って、華やかでもなんでもなくて、本当に単調なことが必要だったりするから、あまりきらびやかな、あの華やかな、あの職業だと思ってこの職業を目指そうと思ってると、ギャップにやられるかもしれないとは思います。これが例えばテレビCMに何本も出てっていう人だったら、それはもう華やかな生活なのかもしれないですけど、でもその方たちだって、蓋を開けてみたら、もしかしたら今の私と同じ感じで、ただの、同じ動作を何度も繰り返して、ポテトチップスを一口口に入れるだけを何時間も繰り返すみたいな、そういうことがあるのかもしれないから、過度な期待を持って職業を目指すのはあまり良くないかもとは思いました。私は、もしモデルを目指してる方がいらっしゃるのだとしたら、自分の顔ってこんなにブサイクだったんだなっていうのを何度も経験することになるから、覚悟しといてねって感じです。