若くして母になり、子どもを連れて行けるサロンの少なさを痛感した。「預けてまで我慢する人を減らしたい」と独学から資格取得へ。深爪や巻き爪の悩みに向き合いながら、お子様連れで通えるサロンを立ち上げた一人の歩み。
Q&A インタビュー
現在のお仕事について聞かせてください
ネイリストをやっています。おしゃれの一部でもあるんですけども、今は育成も行っています。要は、癖で幼い時から爪を噛んでしまったり、むしってしまったりして、爪にコンプレックスを感じている方に対して、ピンクの部分は実際に伸びるので、その手助けをしています。
深爪とはどんな状態を指すのでしょう
みんな深爪になっていますが、実際は指先と同じぐらいか、それより先に出ていなきゃいけないものになっているんですね。本来その長さにあるべきなんですけど、やっぱり癖だったりで、噛んでしまったり、爪切りの仕方を間違ってしまったりして、深爪になっている方が多いので、それを正常なピンクの長さに戻すための手助けをしています。
爪は指先でどんな役割を担うのですか
指先に圧をかけると赤くなる部分ってありますよね。だいたい爪の真ん中あたりだと思いますが、そこまでしか指先の骨ってないんですね。なので、爪が指先までないと爪圧がかからないので、指先のパフォーマンスがうまくいかないんです。よく、この爪と指の境目に角質が溜まる方が多いんですけど、それは深爪さんに多い傾向にあって、指先を使うことによって伸びてきた爪とぶつかり合って、そこが角質になってしまうんです。本来、サイドまである爪であれば、そこがぶつからないので角質になったりはしないんですね。なので、清潔感が生まれます。
正しい爪の切り方を教えてください
視覚的に、白いからといって伸びていると、よく思われますよね。私、爪切り指導士っていう資格も持っていまして。白いところをめがけて爪切りをしようとすると、爪と皮膚の間に爪切りを入れ込んでパチンパチンとやると思うんです。そうじゃなくて、爪切りがこうあったとして、爪切りの腹と指の先を当てて、出た分だけパチンとする。そうすれば指先から出た分だけ短くなるので、深く切ることはないんですね。でも、白いから伸びているよって、学校の先生だったりから、幼い時からずっと言われ続けていたことによって、正しい爪切りが知れ渡らずに、そのまま深爪で育っていっちゃうという方が多かったりします。
まだ珍しい資格もお持ちとか
アスリートネイル協会っていうのがありまして、そのアスリートネイル協会で出している資格証になります。2年前ぐらいに新しくできた資格になるので、まだそんなに世間には知られていないのかなと思っています。アスリートネイル協会には、前回の東京オリンピックでも選手村で活躍されたネイリストが多く所属しています。
今はどんな体制で運営していますか
今現在は私一人でやっています。妹と一緒にやっていたんですけども、妹の環境が変わってしまって、今は一人でやっています。アパートの一室を借りて、サロンに内装を変えてやっています。
サロンを始めたきっかけは何でしたか
私自身がネイルがすごく好きで、若くして母になったんですね。子供を連れて行けるサロンさんが少ないと感じていて。だけど、資格をとろうと思っても、やっぱりお客様とマンツーマンっていう仕事になるので、子供が風邪を引いたりして、お迎え要請があった時にお迎えに行けない状態になってしまうんです。それで、独学で取れるところまでをとって、子供が小学校の高学年あたりの時にスクールへ改めて通って、資格をとって、よし出そうって思って出しました。楽ではなかったですね。お店を出した時はまだ子供が中学生だったので、いつでも飛んでいけるように自宅から近いところにしました。元々やりたかったんです。やりたかったけども、環境的に難しくて。だけど諦めきれずに、もうやるしかないっていう気持ちで。やっぱりお母さんでもオシャレはしたいし、と思って。だけど、子供を預けてまでやることではないって、結構悩んでいる方を目にして、私が出すしかないじゃんと。お子様連れで通えるサロンになっています。
多くの資格をお持ちなんですね
ネイリストっていう職業は、今現在国家資格になっていないので、ぶっちゃけ誰でも、無資格でも出せる仕事なんです。だけど私は、安心して通えるっていうところに重きを置きたいので、一級まで取って、ジェル検定も上級まで取って。ネイルマシンっていうものを扱うので、マシンの資格も取って、ありとあらゆる資格を取って、万全の体制でお店を出しました。
開業した頃はどんな状況でしたか
コロナ禍からのスタートだったんですね。なので、集客もままならない状態で。私が最初からどこかに所属していたわけでもないので、お客さんゼロの状態からのスタートだったんです。経営に関しても全く無知だったので、どこからやればいいの?と、右も左もわからないまま、がむしゃらにやっていました。
手の巻き爪で来られる方もいるのですか
手の巻き爪で通ってらっしゃる方がいます。その方の職業がマッサージ師でした。爪を深く切らなきゃいけないのと、圧で爪が巻いてきちゃうんですね。どうしても、圧と、爪が巻いていることによって、とても痛い思いをしていたので、正常の爪の形に戻すお手伝いをしました。
施術で特に神経を使うのはどんな時ですか
神経を使うのは、もちろん全部細かい作業になるんですけど、一番って言われると、やっぱりマシンや器具を使ったり、ニッパーで刃物を使うので、その時が一番神経を使います。でも、無言の空間でいると、お客さんも緊張してしまうので、リラックスしてほしいんですね。どうしても緊張すると指先に力が入っちゃって、こっちで動かしたいのに動かせない状態になってしまうので、できるだけお話ししてリラックスしている状態でやっています。
他のサロンとの違いはどこにありますか
他の、おしゃれネイルってなってしまうと、結局「デザインどうする?」「じゃあこうしよう」だけで終わってしまうサロンさんが多いんです。爪の悩みに対して深掘りしていくっていうのは、やっぱり自爪育成をやっているサロンさんだとか、巻き爪矯正をやっているサロンさん特有かなって思います。健康な爪ありきでおしゃれネイルを楽しもう、と思っているので。
多くの人が深爪になる原因は何ですか
爪切りです。やっぱり正しい爪切りを知らないから、みんな深爪になっていく、巻き爪になっていくということですかね。やっぱり視覚で、どうしても「白い爪イコール伸びてる」「白い爪イコール切っていい爪」っていう風に根付いてしまっているので、それをちょっと変えていかないと。まだまだ力が足りてないなっていうのがあります。
やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか
もちろん、お客さんに喜んでもらえるのが一番なんですけども、自分のスキルとしても、やっぱりいろんなお客さんと出会うことによってスキルアップしていく、日々学べる環境にいることが幸せだなと思います。お客さんが爪を見始めてニヤニヤしているところを見ると、「よーし!」ってなります。「ケアだけでこんなに変わるの?」とか「この色、超素敵!」って言われてしまうと、なんかサービスしちゃう。お客様の悩みとおしゃれのお手伝いができる、素敵な職業かなって思います。
ネイルマシンについて教えてください
角質とかの、お客様によく言われるのが、「歯医者さんみたいだね」って言われます。実際、歯医者さんが使っている、あの大きい椅子と一体化したものを、超コンパクトにしたものになります。歯医者さんでも歯を削ったりなんなりすると思うんですけど、そのビットって言われているものを1個1個変えて、爪の周りのケアだったりをします。削るって言うと爪が薄くなるとか、ちょっと思われがちなんですけども、爪の表面についた角質を取り除くとか、硬くなった角質を削っていくっていう感じになります。かなり使いますね。
お子様連れの施術で気をつけることは
やっぱり、お子様連れで来られる方で、まだよちよちな幼少期だと、一応サークル内に入ってもらって過ごしてもらうんですけど。でも、泣き始めちゃったりすると、ママの手は今こう塗っている状態なので、赤ちゃんを抱っこできない状態になってしまうんです。なので、泣く前に仕上げようって急ぐことはありますね。
爪の伸び方に個人差はありますか
自爪育成をしていて、やっぱり10代の子の爪の伸び方はすごく速いなっていうのがあります。落ち着いた年代の方、40、50代の方で爪にコンプレックスを感じている方がいらっしゃって、同じスタートをしても、やっぱり10代の方とはまた別だなというのを感じました。こんなに差が出るんだって驚きましたね。10代は早いです。アンチエイジングが始まっていない状態なので、もう成長スピードがとても速いんです。あとは季節の問題もあります。乾燥する季節は伸びるのが遅いです。夏場になってくると乾燥がなくなってくるので、爪の伸びるスピードも速いです。髪の毛もたぶん同じ成分なので、爪と髪の毛は、髪の毛も夏のほうが早いです。
今後の目標を教えてください
目指していることは、やっぱり路面店に出せるサロンになりたいなと思っているんですけども。今の状態でも、もちろん知ってくれているお客様はいるんですけど、爪の悩みを抱えている方々に、ネイルサロンってコンプレックスを解消できるところなんだということを、もっと知っていただきたいので。そこをちょっと路面に出して、もっと目につく環境にしたいなと思っています。
この仕事は今後も続けていきますか
続けます。やっぱりお手伝いだと思っているので、コンプレックスを解消する、痛みの軽減をお手伝いするというのを、生涯ずっとやっていきたいなと思っています。お店が2店舗になっていたいですね。2店舗になって、自分も働きながらプライベートも充実させたいなと思っています。
これからネイリストを目指す方へ
一番厳しいことを言うと、「ネイリスト、そんなに甘くないぞ」っていう。やっぱり一人一人、爪の形が違うものなので、お客様に寄り添えるネイリストさんが増えていければなと思っています。