企業と外国人労働者、双方の言い分に耳を傾けながら、間違っていることには相手が誰でも「違う」と言う。優しさと厳しさの両方がなければ、人の人生は預かれない。帰国子女として二つの国を知る立場から、架け橋の仕事で大切にしていることを聞いた。
Q&A インタビュー
今のお仕事について教えてください
はい。外国人技能実習生および特定技能生の職探しなどをしております。一応民間の組織となっております。組合という形にはなっておりますが、民間の組合という風になります。企業からそれぞれ出資してもらって、その上で成り立つ組合にはなっておりますが、私たちの主な業務は、一言で言えば、外国人労働者、在留資格が技能実習生と特定技能には限りますが、外国人と人材が欲しい企業の架け橋になることがお仕事になります。
この仕事を選んだ理由を教えてください
やはり最初、私、帰国子女で日本に来た際に、インドネシアから日本の方に帰ってきたんですけど、やっぱりこれを生かせる、この言語を生かせる、あと架け橋になれるような仕事をしたいと思い、今の職業を選びました。
この仕事で難しいと感じることは
やはりこの仕事、入管や技能実習機構という国の組織があったりして、そこで法律とかなど絡んでくる部分を覚えたりとかしないといけないので。法律ってちょっと分かりにくい言葉で書かれてたりするので、それを覚えたり理解するのに、まだ慣れてきてないところはあったりします。
生活面のサポートも必要ですか
やはり外国から来た技能実習生を面倒見る際にあたっては、彼らはやっぱり日本のことについては何も知らないっていうのが当たり前な状況で、私たちはそれこそ税金の支払い方だったりだとか、国民年金だとか、そういう海外にはないものの手続きなどを教えたり、一緒に連れてって案内したりとかしないといけないので、やっぱりそこらへんの部分も詳しくないと、とても大変と言いますか。
受け入れまでの流れを教えてください
まず最初としては、企業様からこういった人が欲しいという依頼を私たちの組合にいただきます。その際に、それに合うような、その条件に合うような外国人労働者を、海外の方、送り出し機関の方にご依頼しまして、こういった条件でこの人数が欲しいので、何人か候補者を集めてくださいってお願いします。そしたら、今は結構オンラインのズームの方で面談することも多いんですが、もちろん現地の方に行かれて直接面談、面接する方も、企業さんの社長もいます。その面接をして、この人とこの人とこの人が欲しいとなりましたら、入国できるよう手続きをしていく。入国する前にだいたい六か月間、時間がかかるんですが、その間に送り出し機関という現地の機関の方で、日本語の勉強だったり文化の勉強をさせてから、六か月後入国します。入国したら、直接そのまますぐに企業さんの方に入るのではなく、センターというところで日本語を最低でも20日間学んでから、企業の方に配属という形で送り届けます。これが受入れまでの流れとなっています。そこのサポート、もちろん入管への手続きだったりとかも、私たちのお仕事になってきます。
仕事はどうやって覚えましたか
そうです。研修制度などがありますが、基本的にみなさんそれぞれ、企業さんによってはこういうやり方がいいというのもあるので、仕事していく中でも結構自己流になっていたり、もちろん法に則った方法ではありますが、そうなっていることが多いです。いつの間にか覚えているという形ですがね。私の方はすごい勉強ができる方でもなくて、書類の作成もできる方ではないので、やっぱり1年半やっていく中で、こういうのはこういうルールなんだ、こういう問題をこういう風に対処するんだという形で覚えていくという風になります。やりながらという風になります。
外国人材の需要はどこから生まれるのか
日本の企業、それこそ建築会社さんの社長だったりとか、人材が欲しくなければ、私たち自身も送り出し機関の方にこの人を準備してくださいという風に依頼することもできないので、やっぱりそれを言うのは、日本の社長さん、企業の社長さんだったり、それを決める人事の人だったりとかってなりますね。ほぼそれですね。わりと来てくださいというスタンスで、来てくれないと。建設会社さんの現場だったり、工場が回らないからどうしても人が必要、日本人も必要だけど全然集まらないという。日本人を雇いたくないというわけではなく、日本人が来ないから仕方なく外国人に頼っているという面もあります。
この仕事のやりがいを教えてください
送られて六か月で、またセンターで勉強をして、それから働き始めて。やはり初めての日本でいろんな体験をしてもらって、で、こういうことをしたよとか、日本でこういうところ行ったよって話を聞くと、すごいなあだったり、よかったと。日本に働きに来てくれて、働くためだけではなく、本当に日本を好きになってもらうようなことをしていただけると、僕の中ではやってよかったなと思います。もう本当に、そういうことをして日本を知ってくれたっていうのが分かると、僕はこの仕事をやってて良かったと思います。
仕事の面白いところはどこですか
企業さんと外国人が働く際に、僕たちの通訳でつながったりする感覚だったり。あとは私自身は、結構、現地面接と言って海外の方で本人たちを探して、ついでにちょっと観光したりとかもするので、そういうところを楽しんだりだとかしてますね。
逆に大変なことは何ですか
やっぱり僕たちも人間で、完璧な通訳ができるわけではないので、こちら側が伝えても、うまく伝わらなくて、結果、仲が悪くなってしまって、企業さんと実習生の仲が悪くなってしまったり。あとは、帰国対応って言います、一時帰国、その外国人が帰る際も、私たちは空港まで送ったりとか、逆に日本に来るときも迎えに行ったりとかしないといけないんですが、飛行機の時間によっては、午前2時とかに迎えに行って、その後の仕事もまだあるんで、9時くらいまで、また夜まで仕事するっていうのは、ざらにあります。その日、次の日に一日家で休んでたりとかもできるんですが。
この仕事に必要な資質とは
私は、やっぱり思いやる心じゃないかなって思います。外国人のことも確かにそうだけど、企業側の言い分もあってるし、外国人の言い分もあってる。そこの折り合いを取る際に、じゃあ次は感情の部分から判断しよう、だけど決して甘く判断しない。ちゃんと怒るところは怒る、それ、違うところは違うって言える。企業さんに対しても、社長さんに対しても、取引相手でも、それはちょっと違いますっていう場合は、ちゃんとしっかり言うって言ったところが必要なのかなって。だからこそ、今いる外国人の、私と同じ同僚の外国人は、育ってきているのが日本じゃなくて外国なので、そこをきっぱりパッと言える人がいたりするので、これはすごい真似できないなと思いながら、尊敬とかはしています。
今後の目標はありますか
特になくて、本当に目の前の仕事を精一杯するってだけですね。特にどこか、この後キャリアアップできるような仕事かって言われると、どうなんだろうって。だから今は自分のやってることに集中するのに精一杯で、全然考えられてないです。
やりがいとお金の関係について
この仕事によって新しい縁ができていくっていうところが、結構やりがいを感じていまして。私自身、給料は正直言うと、もうちょっと欲しいなと思いますが、それでも充分いただいてるっていうふうに思います。私自身はただ、やっぱり同僚とかは、いやー足りないよみたいな話をしてたりもしますね。やっぱり、仲を取り持つためにもご飯を連れて行ったりとかするので、そういうところでお金を使って、もちろん経費として戻ってくるんですけど。自分がしっかり、相手の人生をもう管理しないといけないのに、自分がしっかりしていないと、やっぱり説得力が出ないので、そのためにも、ちゃんと生きていく中ではお金が必要になっていますね。
この仕事に向いている人は
やっぱりフットワークが軽い人は向いてると思います。あっちこっち行ったりするので、フットワークが軽くないと難しいのと、なんて言うんですかね、私のところは日本チームも普通に働いてはいるんですが、ある程度、通訳、言語の通訳ができる人も向いてるし、そこの彼らの、外国人の文化に対して理解を持っている人。あとは、やっぱり間違ってることははっきり言える人、こういうのをちゃんと指導ができる人が向いてるかなと思います。あと、親身になれる心、優しい心。
この仕事に込める思いとは
私がインドネシアの方に住み始めたのが、ちょうど小学6年生だったんですが、その際に、本当に周りは誰も助けてくれなくて、言葉も喋れなくて、父親は当時日本で仕事してたんですけど、まあみんなからからかわれたり、いじめられたりっていうのもなくはなかったんですよね。そこを助けてくれる存在、コミュニケーションを取るのが本当に苦手で。だから、そういう思いを他人にもしてほしくないし、私はインドネシアも好きですし、日本のことももちろん大好きですし、そこらへんがうまくつながってくれるような世界になってくれればなというふうに、常々思ってます。
この仕事を目指す人に伝えたいことは
やっぱり理解し合うこと。何でも、ただ怒りだったりだとか、自分の気持ちだったりに任せるんじゃなくて、まずは一旦受け止めてみようって、一度受け止めて、自分の中で飲み込んで、飲み込んで解釈したものを、分かりやすいように伝えられるよう頑張ってください。