美容・健康
06月18日
トレーニングの1時間より、残りの23時間の姿勢を見る。怪我をさせないことを最優先に、一人ひとりの目標へ寄り添う。かつての「自分が自分が」を手放した先に、指導の軸が定まったという。競技者としての実感がにじむ、体づくりへの向き合い方を聞いた。
Q&A
インタビュー
今のお仕事について教えてください
現在はパーソナルトレーナーをやらせていただいております。初心者の方から上級者の方まで、幅広くボディメイクをサポートする仕事です。一人だとジムで何をすればいいかわからないという方や、ジムに入会したけれどなかなか体が変わらないという方をサポートしています。最近はジムが増えてきて、自分の体を変えることに興味を持つ方が増えてきました。ボディメイクという言葉は、体を化粧するわけではないですが、自分の体をより良くしていくという意味で広まってきているので、そこをサポートしていくボディメイクが主流かなと思っています。パーソナルジムのトレーナーとして、正社員ではなく業務委託として活動させていただいています。
トレーナーを目指したきっかけは
自分自身がボディビル競技をやっていて、体を変える楽しさを感じていました。今はフィットネス人口が増えてきて、なかなか一歩を踏み出せないという方も多いと思います。そういった方をサポートすることに生きがいや楽しさを感じたので、ぜひこれを職業にしたいと思い、パーソナルトレーナーになりました。
ボディビルとの出会いを聞かせてください
ボディビル歴で言うと今年で2年目になりますが、去年初めて大会に出場させていただきました。トレーニング歴で言えば今年で4年目という形です。元々は野球をやっていて、補強としてトレーニングをしていたのですが、気づいたら体が変化してきて、先ほどの話とつながるのですが、ボディメイクの楽しさを知りました。友人に誘われて一度大会を見に行くことになり、自分自身は興味がなかったのですが、見に行ったときに刺さったと言いますか、「かっこいいな」と思い、自分も出たいと思ったのがきっかけです。めちゃくちゃ楽しいですね。
就職ではなくこの道を選んだ理由は
もともとは一般就職をしようと考えていて、営業職の内定もいただいていました。ですが、自分が本当にやりたいことは何だろうと考えたときに、ボディビル競技や、パーソナルトレーナーとして人をサポートすることが、自分のやりたいことだと感じました。そこで内定を辞退させていただき、大学生の時から本格的にパーソナルトレーナーとして活動しています。
これまでに苦労した点はありますか
自分の伝えたいことがうまく伝わらないという部分が、多少なりともありました。ここをどう伝えればいいのか、最適解を見つけることが、自分の中では苦労した部分だと思います。
他のトレーナーとの差別化で意識することは
最近はパーソナルトレーナーが増えていて、隣でトレーニングフォームを教えて数を数える、といったトレーナーも正直たくさんいると思います。その中で差別化を図りたいという思いがあり、体を根本から見直すことを大事にしています。例えばフォームをどうこうするというよりは、その人の姿勢がこうだからこうなる、という根本から見直すのが僕のやり方です。結局トレーニングをするのは1日1時間程度ですが、1日24時間ある中で、残りの23時間が変な姿勢だと体は良くなっていかないと思うので、その1時間以外の部分も正していくことを大切にしています。
指導で最も大切にしていることは何ですか
一番大事なのは、怪我をしないという部分だと思います。トレーニングを始めたばかりの頃は、重さを上げることだけに集中して、最後は崩して上げてしまうパターンも多いので、そこはしっかり見ています。少しでもずれたら止めるということも、トレーナーとしては大事だと思っているので、サポートする中でしっかり止める部分には神経質になっています。お金をいただいて自分を頼ってくださっているので、体が変わらない、むしろ怪我をしてしまうとなると元も子もありません。まずは怪我をしないことを大前提として、お客様の目標やニーズに合わせてサポートすることが一番だと思っています。
トレーナーとして成長したと感じる点は
大きく変わったと思います。まず知識量もそうですが、自分よがりになってはいけないと感じています。最初の頃は、自分の知識を伝えてより良くしたいという、「自分が、自分が」という思いが大きかったのですが、今もそれはしっかり出しつつ、まずはお客様の目標とニーズに合わせることが大事になってきます。そんなにガッツリとトレーニングをしたくない、楽して痩せたいという方も少なくないので、そこはしっかり寄り添います。逆に、厳しくやってほしいという場合は、心を鬼にして厳しくやる場面もあります。ベクトルが自分に向くのではなく、お客様に合わせるというのが、一番成長したというか、変わった部分だと感じています。
やりがいを感じる瞬間はどんなときですか
お客様の目標を一緒に達成できたときだと思います。体づくりはもちろんですが、逆に重さを求めていきたいというお客様もいらっしゃいます。例えば、ベンチプレスを100kg上げたい、スクワットを140kg上げられるようになりたい、といった目標です。最初は全然ほど遠いという状況でも、続けるにつれて目標の数値がどんどん近づいてきて、ついにベンチプレスが100kg上がったときは、何とも言えないうれしさがあります。お客様と一緒に喜べる、最高の瞬間だと感じています。
未経験からどう知識を身につけましたか
ジムによっては研修もあるので、知識ゼロの状態でトレーナー活動を始めたわけではありませんでした。学生時代から、あまり良くはないのですが、部活で他の部活の子にトレーニングを教えたりしていて、いずれはトレーナーになろうと考えていました。そこからシミュレーションではないですが、パーソナルはこういうふうにやろうという感じで、有名なトレーナーのセッションも受けて自分の中で吸収したり、セミナーにも行って知識を増やしたりしていました。そのため、いざトレーナーを始めるとなったときに、知識のなさや不安感は特にありませんでした。
素人とプロの違いはどこにあると思いますか
素人とプロの違いは、変化があるかどうかだと思います。先ほどの話とつながりますが、お客様の目標を達成できるかどうかにあります。プロであればほぼ達成できると思います。よほどの怪我や、お客様の気持ちが落ちているといったことがない限りは、基本的には達成できます。トレーナーの指示にしっかり従っているのに体が全然変わらない、重さも上がっていかないとなると、それは素人寄りの指導になるのかなと感じています。
何歳からでも始められるのですか
ボディメイクのいいところは、引退がないというか、何歳からでも始められることだと思います。20代と60代では成長の速度は当然変わってきますが、変化がまったくないということは絶対にありません。何歳からでも始められるというのは、とても良いことだと思っています。
お客様がパーソナルを利用する理由とは
大きく分けて2つあると思っています。1つは、ジムに入会してやってみたけれど、いまいちよくわからない、頑張っているのに全然変わらない、というときです。頼る人がいなければずっとそのままになってしまうので、どうしようとなったときにパーソナルジムに入会して頼っていただくパターンです。もう1つは、1人では継続できないというお客様です。ジムに入会したものの、1人だとわからないし継続もできないというときに、僕らと一緒にトレーニングをすることで継続できますし、正しいフォームや正しい使い方もまんべんなく教えることができます。1人では継続できないという方が頼ってくださる場合もあります。
この仕事の本質的な面白さは
逆に、お客様から自分も学べる部分があると感じています。自分の中ではこうだと思っていたことが、意外と当てはまらないケースもあります。そこで、なぜこうなったのだろうと持ち帰って勉強し、こういうことだったのかと答え合わせをしていく。そうやってアップデートしていくイメージです。パーソナルというと、こちらが教えるだけというイメージがあると思いますが、意外とトレーナー側も日々学ぶものがあります。本気で向き合ってきたからこそアップデートできる知識もあるので、そこが面白い部分だと思っています。
良いトレーナーの条件とは
先ほどと少しかぶる部分もありますが、いかにお客様と寄り添えるかが大事だと思っています。いろいろなトレーナーがいるのは、僕はとても良いことだと思っていて、知識が多少弱くても、この人とトレーニングするのが楽しい、この人に教わるのが楽しいというのも、その人の強みです。何を生かすかという点では、一つ突出している部分があるといいのかなと思います。知識であったり、もっと言えばボディビルの経歴であったり、話していて楽しくこの人に教えてもらえると続く、というものがあれば、お客様の目標を達成できることにつながります。一つ突出した部分があればいいのかなと思います。
今後のキャリアビジョンを聞かせてください
まずは競技者として頑張りたいという気持ちが、今は一番強いです。1ヶ月後に大会を控えているので、そこで優勝することを念頭に置いています。職業としては、それをうまく生かしながら、いずれは独立して自分のやりたいようにやっていきたいです。自分の理想とするようなパーソナルジムやフィットネスジムを立ち上げたいと考えています。
仕事と趣味のオンオフはどう切り替えるのか
今は趣味でボディビルをやらせていただいていて、これをいつか趣味を超えた範囲でやっていきたいと思っています。基本的に趣味は仕事から離れるものだと思うのですが、僕の場合はボディビルが仕事に似てきている部分があります。減量もきつくて過酷ですし、それを24時間やるとなると、途中でメンタルがおかしくなってしまいます。そこで、寝る2時間前や90分前にはお風呂に必ず浸かるようにしていて、お風呂を出てからはボディビルと仕事のことは一切しないと割り切っています。その時間はNetflixを見たり、YouTubeを見てゆっくりしたりといったことを、最近はとても大切にしています。休むときは休んで、やるときはやるというオンオフの切り替えを、ワークライフバランスの中ではすごく意識しています。
その切り替え方は自分で見つけたのですか
完全に自分で編み出しました。寝る前もボディビルのことばかり考えて、夢にまでボディビルが出てきて、好きではあるのですが、少ししんどいなという時期がありました。どこを区切りにしようかと考えたときに、お風呂はリラックスできる場所だと思うので、ここを区切りにしようと考えました。お風呂に浸かってリラックスして、出たらストレスになる要素は全部排除しようと思いました。その時間はリラックスする時間だと割り切って、どんなにボディビルを見たくても見ないと決めています。
ボディビルの魅力はどこにあると思いますか
ボディビルの魅力は、成果が目に見えて分かるところだと感じています。一昔前はボディビルが馬鹿にされるような風潮もあったと思いますが、今はそんなことはなく、ボディビル人口も増えてきて、とても盛んになってきています。一番の楽しさは、自分との戦いだと思います。相手と戦う競技ではありますが、まずは自分、去年の自分を超えていって、いい体が作れた結果として順位がつく、という競技だと僕は考えています。勝ち負けは当然ありますが、去年の自分をはるかに超えられたら、ボディビルとしては勝ちと言っていいのではないかと考えています。いい意味で自分と戦える競技ですし、ストイックにならなければ勝てない部分もあるので、そこに楽しさがあります。
トレーナーという仕事の魅力とは
お客様と一緒に喜べる場面があるのが良いところだと思います。普通の仕事でも、トレーナーと同じように一緒に喜べる場面はあると思いますが、給料が上がって嬉しい、というものが大半だと思います。僕はそこにはあまり大きな魅力を感じません。もちろん給料も大事ではありますが、お客様から目標を伝えられて、それを達成できたとなると、お金以上に嬉しいものが込み上げてきます。そういうものが自分の中では大切なので、パーソナルトレーナーとしての魅力はそこかなと感じています。
仕事と幸せはつながっていると思いますか
結びつくと思います。人間、暇は人をおかしくするものだと思います。仕事を1年間やめてください、24時間家にいてください、となると、人は正直おかしくなってしまうと思うんです。ですから仕事は、やりすぎるととてもきつくなりますが、程よい仕事であれば必ず人を幸せにすると思います。仕事を悪いものだと思ったことはなく、仕事イコール幸せだと僕は思っています。
これからトレーナーを目指す方へ
自分の武器となるものを見つけてほしいと思います。先ほども言いましたが、それは知識でもいいですし、多少知識が弱くても、お客様を喜ばせられるとか、話が面白くて継続しやすいといったトレーナーにも、僕は十分に需要があると思っています。一つの最大の武器というか、自分にしかないものを作っていくと、いわゆる良いトレーナーになっていくと思います。とにかく、自分は何をしようかという武器を見つけてもらえればと思います。
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